大橋ゆりさん(Cafe&Dining Bar MVIRINGO)
大橋ゆりさんは、現在、アジアンカフェMVIRINGOのオーナー兼シェフとして活躍をしている。大学卒業後約1年間企業に勤め、出産を機とした退職からMVIRINGO開店に至るまでに、フリーランスとして幼児教育、Webデザイナーを経て、そして42歳で起業しWeb制作、思春期青年期の親子スタイルなどの事業を展開してきた。
飲食店を開くことを決めてからは、料理の勉強や店を開くための資金を得るために料理教室やホームパーティを開催したり、銀座のレストランでシェフとしてアルバイトして実地訓練をしたりした。
そして昨年、MVIRINGOを開店した。好きな料理を出し、いろいろなイベントも行うこの店はまさに大橋さんの夢がちりばめられた場所だ。
きっかけは娘の成長
大橋さんの最初の仕事は休日や遅くまでの仕事が多く、子育てをしていくことを難しく感じたことと、当時慣行として結婚や出産を機に退職することが当たり前であり就業継続は難しく、妊娠・出産を機に退職した。その後、子育てをしていく中で音楽を融合した幼児教育法であるリトミックに関心を持ち、子育てをしながら専門学校に通う日々を経て、幼児教育の事業を立ち上げさまざまな形で展開した。さらに子どもの学費が必要な時期には、社会的に自分の仕事を確立するためにWeb制作の事業で起業をした。また子供が大きくなってからは子育て経験を生かし「思春期青年期の親子スタイル」のコミュニティサイトを運営し始め、現在も講演会活動などを行っている。このようなことからも分かるように、大橋さんの働き方は娘の成長とご自身のライフスタイルの変化に合わせた事業展開を行ってきた。
大橋さんがアジアン料理の店を始めたきかっけは海外への興味であった。以前から海外に興味があった大橋さんだが、子育てを理由に長らく海外旅行へ出かけられなかった。しかし娘が大学3年生のころ、彼女の誘いを受け海外旅行に行ったことをきっかけに、大橋さんの海外に対する関心に火が付き、「第3の人生」を多国籍料理店と言う形で展開したいと思うようになった。2人の娘が結婚と就職で親の手を離れ、母親業を卒業したことを機に、平成25年12月にアジアンカフェMVIRINGOの開店に至る。
たくさんの人と出会いたい
事業にとらわれず私生活においても仕事においても、大橋さんの活動の目的の中に「たくさんの人との出会いを通して、新しい考え方にふれたい」という思いがある。現在、自宅で行っているホームステイもそのひとつ。さまざまなイベントを通じ子供から大人まで楽しめるMVIRINGOは飲食店のみではなく街の文化発信地となるコミュニティカフェにしたいというのが大橋さんの思いだ。また「思春期・青年期の親子スタイル」の運営から培った経験を生かし子育ての先輩として、思春期や青春期という難しい時期の子どもと上手にコミュニケーションをとる方法などを機会があるごとにアドバイスしている。
夢の先の夢を抱いて
大橋さんは、今、自分が手がけている事業のそれぞれをもう一度見直し、今後の経営の中で改善し、しっかりと安定した収益を上げることを目標に努力している。
海外に対する興味ももち続けているので一生一度は「海外で暮らしてみたい」という夢も捨ててはいない。
「できることなら海外でただ暮らすのではなく、なにか仕事もしてみたいわねー、英語できないから駄目かしらねぇ」と大橋さんは笑った。
私達は「夢」を叶えるとその時点で終わりと思ってしまいがちだが、大橋さんの場合は、「夢」を現実にした時点で、夢の先にさらなる夢を抱いている。ずっと夢を持ち続けることの大切さを教えられた気がした。
挑戦することを怖がらないで ~若者に伝えたいこと~
「白紙から何かに取り組むというのは怖いことと思うかもしれない。けれどもそれが成功しても、たとえ失敗したとしても得るものはとても大きい」と大橋さんは自らの経験から語る。「迷ったらやらないで後悔するよりもやって後悔したほうがいい。一歩踏み出してやったことは結果が上手くいかなくても必ず何かを掴むから、保守的になりすぎずに自分のやりたいことを追求してほしい」という。大橋さんは様々な活動を通じて多くの人々と出会い、これは人生における大きな宝となった。「だから、多くの人と協力関係を持って欲しい。そうすれば苦しい時期も乗り切れるし楽しく生きられるから」
編集後記
取材を終え、ライフスタイルに応じて次々と新たな事業を展開していく大橋さんの姿に大変魅力を感じた。置かれた環境のなかで常に最大限の努力をし、失敗を恐れず挑戦していく行動力を私たちも今後の生活において見習っていきたい。
取材日:平成26年8月22日
取材者:羽吹 侑矢
石川 美和子
高比良 春菜