池野 廣さん(川崎市多摩区生田の月見台自治会 総務部長)
月見台にまだ住民が20数世帯しかいなく、道路整備がされていない時から月見台のまちづくりに携わり続けて50年。「自分たちのまちは自分たちでマネジメントする」というお考えのもと自治会を運営している池野さんに、お話しを伺いました。
実践的なワークショップと防災訓練
「”防災点検マップづくりワークショップ”と”図上訓練ワークショップ”などを行い、地域の特徴を自分たちで理解し、防災マニュアルを作成しました。」
ワークショップやマニュアル作りは、女性や高齢者など、いろいろな意見を取り入れることで、具体的な課題が見出せるように工夫されていました。また、それは女性特有の悩みや課題を見つけることにもつながる取り組みです。
「また、防災訓練に関しては、生田6丁目公園で被災・安否状況確認、地区防災対策本部の設営訓練、炊き出しなど、実践的な取り組みを実施しました。この取り組みは、生田6丁目公園に集まれば救助の手が差しのべられる、という安心感につなげることが出来ました。」
防災はマニュアルが重要ではなく、人と人とのつながりが大事だ
「災害は、マニュアルを読んでも、完璧に防ぐことは出来ません。人と人とがつながり、交流を持つまちづくりをしていき、関係を深め、いざ助けが必要な時にお互い助け合えるような関係を築いていきたいです。そのために、一緒に作業をし、体を動かし、汗をかくために、お花見ハイキング・盆踊り大会・もちつき・地区運動会など様々なイベントを行っています」と、おっしゃっていました。
「実際に東日本大震災の時、地域とのつながりがない人は孤独になり、苦しみを分かち合うことができず、自殺してしまった人もいました。そんなことが起きないようにするためにも、地域とのつながりが必要だと思いました。」
子どもに目を向けた防災活動
「東日本大震災は子どもたちの学校帰りの時間の午後2時46分に起きました。共働きが多い月見台では、両親が帰宅困難者になる可能性があります。そのため、子どもがいる家庭は、近隣の高齢の方とつながりを持ち、災害の際にお互い助け合えるような関係にならなければいけないと実感しました。今後は、子どもたちに対する防災、まちづくりをするために活動していきたいと思っています。例えば、ハロウィンの時に、子どもが高齢者の家にお菓子をもらいに行き、高齢者と子どもたちが顔なじみになるというイベントを、防災活動の一環として行いたいです。」
取材を終えて
取材を進めていく中で、「防災は人と人とのつながりが必要である」と何度も口にしていた池野さん。
「これからも地域のつながりを深め、まちづくりをしながら防災活動に取り組みたい」とおっしゃっていました。池野さんの日程表を見せて頂いたら、ほとんど休みがなく、日々、月見台のために奮闘しているようでした。子どもと高齢者の交流を促すなど、女性や子どもの視点に立った取り組みは、とても参考になる貴重なお話でした。
取材日 | 2012年8月27日 |
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取材者 | すくらむ21インターンシップ生(久保田、斉藤、永野、藤原、三澤) |