飯塚暁子さん(川崎市社会福祉協議会 あさお訪問介護支援事業所 所長)
あさお訪問介護支援事業所の事業内容
飯塚さんが所長を務めるあさお訪問介護支援事業所は、川崎市社会福祉協議会(社協)が運営している。社協は地域福祉の推進を図ることを目的している非営利の民間団体で、昭和62年に川崎市からホームヘルパー派遣事業を受託し、平成12年の介護保険制度の開始に伴い、介護保険法の訪問介護事業所、居宅介護支援事業所の指定を受けた。事業所ではヘルパー派遣や居宅介護支援事業などを行っている。
また平成28年度から「かわさき暮らしサポーター」という要支援者等に、掃除や買い物などの生活援助のみを支援をする事業を行っており、地域住民がよりよい生活を行えるよう様々な取り組みを展開している。
スタッフをサポートできることがやりがい
あさお訪問介護事業所では、現在所長1名、事務職1名、ケアマネジャー4名、サービス提供責任者4名と数十人のヘルパーが働いており、その全員が女性である。飯塚さんが福祉業界に進んだ理由は、大学の社会福祉学部で学んだことを直接活かせて長く勤めることができると思ったから。人と直接接することができるのもこの仕事の魅力であると感じている。社会福祉士である飯塚さんは、高齢者や障がい者の相談窓口などで働いてきた。「どうすれば地域のみなさんの生活がよくなるか」。このことをスタッフと一緒に考えながら仕事をしており、それが日々のやりがいにつながっているという。
事業所ではヘルパーさんと年一回の面接の場を設けている。日頃からもヘルパーさんの話を聞いて働きやすい職場づくりを目指しているという。ヘルパーさんから仕事に対する熱意を感じ、思わず涙ぐんでしまうこともあるという。「ヘルパーさんは五感を使い、日々利用者さんの変化に気を配っている。そういう姿を見て介護のプロだなと感銘を受けている。」飯塚さんはヒアリングを通してヘルパーさんの仕事のレベルの高さに気づかされているという。介護のプロとして働くヘルパーさんをサポートできることがやりがいにつながっていると仕事に対しての思いを語ってくださった。
相談を受けたら経過をキャッチしにいく
事業所で働く方々は飯塚さんにとって人生の先輩が多い。学ばせていただくことがたくさんあり、今まで以上に意見を交換できるような努力をしていきたいと語ってくださった。一方で、「職員は自分に遠慮しているところはないだろうか」「自分は所長としてスタッフをマネジメントできているのか?」と感じてしまうことがあるそうだ。飯塚さんは相談しやすい環境を作るだけでなく、相談を受けた後の積極的な声掛けを意識している。相談を受けたら経過を自らキャッチしにいくのも大切だと考えている。
子育てを理由に働くことをあきらめない
飯塚さんは、現在二人のお子さんの子育て中である。仕事では、いつもやりたいことができるというわけではないと語る。だからと言って自分に向いてないと思って辞めてしまったり、子どもを理由に辞めてしまったりすると道が閉ざされてしまう。子育てをしながら、与えられたことにきちんと応じることも、女性が働き続けるうえで必要だと考えている。
飯塚さんも仕事と育児を両立していくうえで、自分は母親なんだと痛感するときがある。それは、出勤中仕事のことを考えていても、子どもの忘れ物を思い出してしまうときもあるとのことだ。飯塚さんは「子どもにお母さんが元気でいいなと思ってもらえるように頑張りたい」とお子さんからのエールを原動力にしていると笑顔で語ってくださった。
学生へのメッセージ ~「頑張った」ことを糧に自分を奮い立たせて~
いくつか「頑張った」と胸を張れる経験があると、自信につながり、つらいときに自分を奮い立たせることができる。これはお子さんにも言ったことがあるそうだ。とにかく何か頑張ったなと思うことを作ること。そのような経験を持っていれば自分の糧にすることができるという。つらいことでも挑戦してみると、「あの時は大変だったけど、今思えば楽しかった」とメンタルが強くなるとエールをくださった。
編集後記
飯塚さんはヘルパーさんを介護のプロとして尊敬し、彼女たちをサポートできることに誇りを持っておられました。実際にお年寄りと接するわけではなくても、ヘルパーさんを通して地域のくらしに貢献したいという思いが伝わってきて、飯塚さんご自身もプロだなと感じました。所長としての面と母親としての面、両方をこなすのは大変だと思いますが、飯塚さんにとっては苦ではなく、むしろエネルギーの源であるということがとても印象的でした。
取材日 | 2017年8月22日 |
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取材者 | ○井上、○山地、田中、山口、藤岡、田村 |