創刊から、プレパパ指南にチャレンジしている先輩風パパ。妻の妊娠がわかったら、プレパパはすぐに準備に着手しましょう。今回は、妻の妊娠が発覚したあとから、時系列に、プレパパが経験するちょっと心折れそうな経験もお伝えしておきましょう。心構えが大事です。
②何をしても、気が利かないパパに甘んじる編
③心が折れそうでも、持ちこたえる笹竹のように編
このコーナーは、流行りの紙とウェブの連携企画。プレパパに(プレママにも)役立つ情報を発信しています。待ち合いの暇つぶし以上の質を保障!
①妻の妊娠が進むとき:総論編
・某月某日:妻の妊娠発覚。
小躍りすると同時に自分がパパになることへの不安がよぎる。果たして自分にパパできるんだろうか。婦人科検診で確定。第4週目です。40週で生まれるとのこと。いろいろ週単位で話が進むけど、慣れていないので、えーと、それっていつのこと?となる。
・某月某日:食事が変わる。
つわりがあるとさっぱりしたもの、くらいの認識しかなかった。生野菜ダメ、生魚ダメ、生ハムダメ、アルコールダメ、辛いものダメ、コーヒーダメ、匂いの強いものダメ。だから香辛料・香草ほぼダメ。自分のレパートリーが洋食に偏っていたため、ほぼ何もできず。せっかく作っても手もつけてもらえず、フライドポテトらへんに負ける屈辱。
・某月某日:妻が会話をしてくれない。
ずっと横になっている。つらそう。休みの日もそれを横目に一人遊びに出かけるわけにもいかず、テレビをつけてひとり笑っているわけにもいかず。それでいて、洗濯の仕方やお皿の洗い方でコトバ強めに怒られる。毎日ひどい二日酔いだと想像して、と言われて理解できるけど、心が折れそうになる。誰か、我が家に換気を。
・某月某日:つわり終了。
つわりが終わり、今後のスケジュールを確認。戌の日、両親学級、産前産後をどうするか、家事分担どうするか、両親にいつ来てもらうか。おむつ、肌着、抱っこ紐などなどベビーグッズを選ぶだけでもひと仕事。哺乳瓶だけでも形の違い、材質の違い、吸い口の違いがあることを知る。思ったより決めることがいっぱい。おしり拭きとお手拭きって分ける必要があるんだ、へー。
・某月某日:職場に報告。育休の取得も宣言。
僕の場合は、チームには安定期(5か月目)に入ってから。上司にはつわり期のサポートで定時退社することも考えて8週頃に伝達。
なんか私事で気恥ずかしいけど、いきなり言ったら大混乱になること必至なので開き直る。引継ぎの準備が、これはこれで一仕事。
・某月某日:出産当日。
余裕な顔していた妻が、唸ることしかできなくなる。背中をさすってやることしかできない。分娩室はあかちゃんに合わせて暑いくらいで長袖を後悔。妻をうちわであおいで水を飲ませて励ますしかできない。そして出産。これで一息と思う間もなく、泣き出す我が子。うんちだの、おなかすいただのと泣き始める。君もいろいろ戸惑っているだろうけど、パパもおっかなびっくり調乳していることを是非知ってほしい。こんなちっちゃい爪を切るなんてドキドキすぎるぜ。
・某月某日:新生児の生活スタイルに振り回される。
おっぱいも後始末があって、足りなければミルクが必要だし、消毒やらなにやら。うんちもおしっこも環境破壊を懸念する頻度でおむつの交換が続く。沐浴なんて両親学級でやった1度きりでドキドキもの。妻は悪露もあり産後体調が戻るまでの間、完全に家事の戦力外。ご飯の用意も洗濯も掃除もパパにかかってくる。体感的には15分おきになにかしている気がする。眠い、という言葉すら頭の中で霞むくらい眠い。
育児はこれから。頑張れパパ。負けるなパパ。
②何をしても、気が利かないパパに甘んじる編
ネットで「妊娠してつわりで大変なのに、変わらずご飯を作って洗濯してくれることを当然と思っている夫に憤慨」なんて記事を見て、やれやれ、ぼくはそんな夫にはなるまいと先進的プレパパのつもりでいたわけですよ。ちゃんと大事にしてあげよう。気遣ってあげようと思っていたわけです。ふふふ、目指せ優しい夫。けれど、実際にやってみると、から回ることから回ること。
食材の買い物をする→「被ってる。ちゃんと冷蔵庫の中確認して」
ご飯をつくる→「これ食べられない(匂い的に)」「これ食べられない(妊婦NG食材)」
食器を片付ける→「泡が残ってる、ちゃんとすすいで」「この重ね方だと乾かない」
掃除機をかける→「隅がのこってるよ」
洗濯する→「ちゃんと洗濯ネット使って」「間隔開けて干して」「それはそのハンガーじゃない」
帰宅する→「手、洗った?」「薬が飲めないから気をつけてよ」
テレビを見る→「ごめん、うるさい」
今日あったことを話す→「ごめん、うるさい」
今後の予定を相談してみる→「いまそれどころじゃない」
明日のゴミを忘れないように玄関に出す→「臭いからやめて」
寝ようとする→「臭いからよらないで」
書き出してみたら、今更ながらにすごい言われ様。
優しい夫を目指す身といえど人間なので、言われた時は「なんだよう」くらい思っちゃいますよね。でも、裏を返せば家事とか、妻がこれまでどういうことを気にしながら進めていたのか、妊娠の今何を気を付けているのか、よく知ろうとしてなかったんだなと、ベッドの隅っこに寄りながらちょっと反省したりして。
③心が折れそうでも、持ちこたえる笹竹のように編
だいたいにおいて、つわりの時期が一番つらいです。なんたって、これまであんなにラブラブだったのに、妻は急にママモード。まずその落差に呆然。それに端的な指示と文句だけ飛んできて、ろくにコミュニケーションも取れないのもキツイ。「あの言い方はないんじゃない」「ごめんね」なんてやっている余裕もないわけで。気分転換の外食も、一緒にテレビを見ることも、その日あったことを話して笑うこともできなくて。「あれ、家庭ってこれでいいんだっけ」なんて考えちゃったりして。さりとて、パパまでイライラしちゃうわけにもいきませんよね。余裕のないママに代わって、パパはどんなことができるか、考えてみます。
理由を知る
人間、何がストレスかって、「理由がわからない」のが一番不安を生みます。まずは妻が「変わってしまった」理由を知ることが第一歩。
(からだ的なこと)
ママは子ども産むために突貫工事で身体を作り変えています。自分が成長期だったころ、貧血とか成長痛とかあったように、急に身体が変われば体調にも影響が出ます。多分一番近い感覚は「毎日24時間ひどい二日酔い状態」。それなら匂いが強いものがダメなのも、「今は話しかけないで」も納得です。
(こころ的なこと)
パパも「あれ、ちゃんとパパになれるかな」と不安がよぎったことと思います。ママの不安は多分その比じゃないんじゃないかなと想像。物理的にからだが変化して自分どうなっちゃうのというのもあるし、自分の一挙手一投足が、おなかのあかちゃんにどう影響するか絶えず気になっちゃう。自分の体のことなので、「今はちょっと考えるのやめとこう」ができません。そりゃあ、余裕もなくなります。
パパの心構え
つわりの時期って相手も余裕がないものだから、本心じゃないにしても言葉足りなくて不条理な言い方をされているように思ってしまいます。扱いが急に雑になったと感じるかもしれません。また、自分のよかれと思ってやったことが裏目に出ることなんて多分しょっちゅうです。一人前の大人がちゃんと考えて動いているつもりなのに、とイライラしちゃうときも。でも、いきなり理解が追い付かなくてもいいって思うようにしましょう。だってパパとママの関係になるのについては、はじめてなんですから。
ぼく自身、「空振りだっていいじゃない」くらいに思えたら楽になりました。全力で振ったなら、最高の素振り練習ですよ。大丈夫、明日はもっとうまくやれます。今はまだおなかの中のあかちゃんが生またら、その子は言葉の指示すらくれません。でもうまくやっていくための今のうちの練習。こどもが大きくなった時に、器の大きなパパになっていればいいんだと思いましょう。そしてから振りするくらい頑張っている自分を、ほめてあげましょう。
身近な相手が万全でない時なんて多分この先いくらでも出てくるだろうなと思います。もし、不安になった時は心の中でおまじないを唱えてみるのもありかもしれません。自分なりのおまじないでいいと思います。ちなみにぼくは「健やかなる時も、病める時も、良い時も、悪い時も。だよな」と唱えて初心にかえってみてます。