『ひきこもりのライフストーリー』
発行日:2020年4月
著者:保坂渉
出版社:彩流社
発行日:2020年4月
著者:保坂渉
出版社:彩流社
ひきこもりと聞いてどんなイメージをもつだろうか。
数年前までは、学校や社会とつながっていない若年層を想像する方が多かったと思う。実際、40歳以上のひきこもりに対して初めて行われた調査の結果が2019年に報告された。その調査もあり、40歳以上のひきこもりの実態も知られたが、多様なのは年齢だけではない。性別も、ひきこもったきっかけや、ひきこもっている期間も様々だ。そのため本著では、本人が生きづらさを抱えて、ひきこもりを自認すれば、当事者とみなしている。本著ではひきこもりの当事者・経験者の四人が登場するが、家族や周りの人が語るのではなく、当事者本人の口から語られる。そのライフストーリーを読むだけでも多様であることが分かる。
ひきこもりUXという居場所を運営する林恭子さんの話も掲載されている。今まで可視化されていなかった女性のひきこもりや、セクシュアルマイノリティのひきこもりにも触れている。それぞれに合ったサポートや居場所の必要性を訴えているが、行政のサポートは就労が中心である。その乖離は大きな問題だ。
ひきこもり当事者だけではなく、居場所作りをしている人、ひきこもり当事者の周りの人にも読んでほしい一冊。