加藤啓史さん(川崎区役所 保健福祉センター)
略歴:大学で看護について学んだ後、大学院に進学。大学院では老年看護について研究を行う。
平成24年に川崎区役所保健福祉センターに保健師として入庁し、現在、保健福祉サービス課に所属している。
これまで女性保健師しかいなかった川崎市に、今年初めて3人の男性保健師が誕生しました。今回はそのお一人で、現在川崎区の保健福祉センターで活躍されている加藤啓史さんに、お仕事、男性の育児、地域活動への参加についてお話を伺い、さらにこれから社会に出る中高生へ熱いメッセージをいただきました!
健康問題を予防できる保健師に!
加藤さんのお仕事についておしえてください。
保健福祉サービス課には保健福祉サービス係、障害者支援係、児童家庭支援係があり、私は現在障害者支援係に保健師として配属されています。障害者支援係では知的障害者、身体障害者、精神障害者の方々を対象に支援を行っていて、私は主に精神障害者の方々の支援を担当しています。
主な業務としては窓口や電話で障害者の方々からの相談を受けたり、障害福祉サービスの案内や申請受付及びその事務処理を行ったりしています。各業務の記録は特定の場所に保管し、他の職員とも情報を共有できるようにしています。事務のほとんどは窓口業務で、精神障害者福祉手帳や自立支援医療(精神通院医療)制度(精神障害者の医療費を軽減する制度)の申請受付、他には電話対応で障害者の方の状態に合った制度の紹介、説明などを行っています。
仕事をする上で悩みなどありますか。
障害者の方から相談を受けた際には、まずその方がどのようなことで困っているのかについて話を聞きますが、次にその方をどのように支えていくかを考えなければいけません。相談を受けた際にどのように行動していけばいいのか、日々悩みながら仕事をしています。
お仕事をする上で心がけていることはありますか。
相談をされる方のお話は、どんな内容でも頭ごなしには否定せず、受け入れていくことにしています。ただし時間が限られている場合などは、受け入れるだけでなく、こちらから本人が言いたいことを引き出せるような係り方ができるよう心がけています。
また、女性が多い職場ですので、男性の強みを活かせる仕事を発見できるようにしたいです。
今までで一番印象に残っている仕事をおしえてください。
精神疾患の疑いがある方が自分や他人に危害を加えるなどの事件を起こした場合、警察から保健福祉サービス課に連絡が来ることがあります。その場合、精神障害者の方々を担当する職員が会いに行き、その方がどのような経緯で事件を起こしたのか、現在どのような状態なのかを調査します。
私は4月に入庁してすぐに、先輩職員と一緒にその調査に入らせてもらい、初めて急性期(病気のなり始めの症状の比較的激しい時期)の精神疾患の方に会ったので、それが一番印象に残っています。
これからやってみたい仕事はありますか。
地域の方々の健康問題を予防することが保健師の役割の1つです。私はもともとこの予防に関する業務に携わりたいと思い保健師になったので、より予防に近い業務にもこれから挑戦してみたいと思っています。
医療に携わりたい、それが第一歩!
保健師になるまでの経緯をおしえてください。
もともと人の健康に携わる仕事がしたかったので、大学は看護系の学部に進みました。保健師を目指すようになったのは大学院に進んでからです。大学院で研究を行っていくなかで、研究室にこもって研究ばかりしていては自分の世界が狭まってしまう、より人と接する仕事がしたいと思うようになり、保健師を目指すことにしました。保健師として地域の方々と直接触れ合いながら、健康問題を予防する仕事がしたいと思い、川崎区役所に入庁しました。
イクメン目指してます!
家族構成、家事の役割分担をおしえてください。
看護大学で教員をやっている妻がいます。家事は特に分担しておらず、一緒にやっています。
男性が育児休暇をとることについてどう思いますか。
男性ももっと積極的に育児に関わっていくべきだと思いますし、私自身も今後子どもが生まれたら期間は分かりませんが育児休暇を取りたいと思っています。行政機関の職員が積極的に育児休暇を利用することで、民間企業のモデルになれたらとも思います。
学校の外に飛び出せ!
中高生時代に夢中になったことはありますか。
中高のときは部活でやっていた軟式テニスに夢中で、時間のある限りテニスをしていました。ダブルスではパートナーとの信頼関係が重要だったので、コミュニケーション能力が養われました。この時の経験は、現在仕事をする上でも役に立っています。
これから社会に出る中高生に向けてアドバイスをお願いします。
中高生のときはとにかくよく遊び、よく勉強してほしいです。交換留学やボランティアなど、学校外での活動にも積極的に参加し、いろいろな人に会い、様々な経験をすることが大事だと思います。また保健師を目指している人は、生物と数学の勉強は中高生の時にしっかりしておいたほうが、大学で専門的な勉強をするときなどに役に立つと思います。大学生はさらに自由時間と活動範囲が増えるので、沢山の経験を積むことができる貴重な時期だと思います。個人的にはサークルやアルバイトなど一つのことだけにのめり込むよりも、長期の旅行などこの時期しかできないことを沢山経験した方がいいと思います。
取材を終えて
加藤さんは、「保健師になるにはコミュニケーション能力が重要です」とおっしゃっていますが、それは保健師だけでなく社会の様々な場面で求められることです。中高生のうちから、様々な経験をし、コミュニケーション能力を磨いていくことが夢への第一歩になるのではないでしょうか。
(取材日 2012年8月28日)
平林佑太、秋元梨花、小澤晴香、小田川和貴、美齊津明澄