創刊から、プレパパ指南にチャレンジしている先輩風パパ。妻の妊娠がわかったら、プレパパはすぐに準備に着手しましょう。
今回は、結構真剣な話(いや、いつも真剣ですがね)。
② 産後のからだは、大けが相当。「甘えるな」は厳禁、「甘えろ!」と言えるように。
③ ォマェが動かなくてどうする、俺。急に有能にはなれない。
★(おまけ:パパができる物理的なフォローあれこれ)
このコーナーは、流行りの紙とウェブの連携企画。プレパパに(プレママにも)役立つ情報を発信しています。待ち合いの暇つぶし以上の質を保障!
①あかちゃん産まれてハッピーなんじゃないの?は間違い。産後うつを甘く見ない。
我が子が生まれるハレのイベントを前に、「鬱(うつ)」。字画だけで敬遠したくなるようなこと考えたくないですね。あかちゃんが産まれるってハッピーになるだけで、だから出産したママ本人も幸せしかないはず。…と思っている我々パパは、もしかするとテレビドラマに慣らされすぎているのかもしれません。
妊産婦の10人に1人が産後うつになると言われ、妊産婦の死因トップである自殺の原因にもなっているそうです。自殺まで至らずともママ本人も辛いし、こどもへの影響も大小出てきます。うつなんて、我が家とは縁遠いなんて思いますが、自治体が行う「新生児訪問」は、あかちゃんが元気であるかということより、母親が産後うつになっていないかを見に来ています。それくらいどこでも起こりうることと地域保健界隈では認識されています。
産後うつのきっかけのひとつに、多くの産後ママが避けがたくなるマタニティブルーあると言われています。うつは「気の持ちよう」でもなければ精神論でどうにかなるものではありません。素人だけではどうしようもない、医療の助けが必要な領域です。でも、マタニティブルーについては、大方は2~3週間を過ぎると軽減されていくと言われています。もしかすると、ここについてはパパもフォローできる余地があるかもしれません。
Dパパは「明るい家庭」を目指したいと考えているので、産後うつだけはできれば避けたいと思っていました。できることとして、産前はなるべく残業せず、出産後も1か月育休を取得しました。その中でDパパなりに見えたママの産前産後の状況がなかなかなものだったので、共有します。
②産後の身体は大けが相当。「甘えるな」は厳禁、「甘えろ!」と言えるように。
体的な面では、妊娠期からの継続的な不眠と出産のダメージがあります。出産時にすぽんと産まれて、母体がなんともないことの方が稀だそうで、大概なにかの医療処置が必要なくらいにはダメージを負います。で、産後は妊娠期以上の速さでホルモンバランスが急激に変化し、体内の作り替えがあります。
精神的な面で言うと、10か月もの間マイナートラブル(つわり、頭痛、腰痛、むくみ、貧血、不眠、食欲不振、こむら返り、軽度健忘など)と戦い続け、勤めているのであれば職場にも気を遣い、薬が飲めないので風邪をひかないよう注意を払い、また転んだり押されたりしないようずっとお腹に気を使い続ける日々。相当参っているところに産まれたら産まれたで間髪入れずあかちゃんの命は自分にかかっていると責任感につぶされそうになり、頻回の授乳とオムツで寝られない日が果てしなく続く。上記のホルモンバランスの影響で髪の毛もごっそり抜けていき、自分ボロボロ感が嫌でも目に入ります。しかも、あかちゃんなんて微笑(アルカイックスマイル)と泣き顔以外表情もないので、そこまでして世話をしても、世話のし甲斐があるんだかないんだか。ネットではいろいろな情報が飛び交い、なにが正解か確信がもてず、社会から切り離された中でそれらの不安と向き合い続ける。身体の機能上避けがたくマタニティブルーになり、幸せな気持ちであかちゃんに向かい合いたいのに、それができない自分がダメなのじゃないかと思ってしまう。
よく、「男性は出産の痛みに耐えられない」なんて聞きますが、産後のママの状況を知るだに、一時的な痛みよりこっちの攻撃の方がよっぽど耐えられないんじゃないかと思ってしまったくらいです。仮に自分がその立場だったら、「いや、こっちはそれどころじゃないからせめて家事くらいやって欲しい」と言うだろうし、そこで「一日家にいるんだから甘えるな」なんて言い返された日には、どんなに大人な対応を心がけていてもぶっ飛ばしているだろうなと思います。そりゃ、離婚の二文字くらい浮かびますよね。
③オマエが動かなくてどうする、俺。急に有能にはなれない。
ここでパパ、なにができるでしょうか。考えました。パパは紳士です。
「手伝えることあれば言ってよ」。妻、言えません。夫に分かってほしいけど、そもそも説明する気力も体力も0、というかマイナス値。説明するって、結構頭使いますよね。言わなきゃ分かってもらえない、せめて話だけでもきいてほしいと思うけど無理。全力フルマラソンしたその足で飛び込み営業成功させて来いと言われるくらい、今は無理。
じゃあ、「なにも心配するな、授乳以外は任せろ」。なんかかっこいい感じがします。「おまえはもう十分頑張った。あとはおれの仕事だ、休めよ」。職場で頼れる上司って感じです。部下や後輩に言ってみたいセリフNo1ですね。でも、あれ、家事ってどうやってやるんだっけ。そもそも何やんなきゃいけないんだっけ。そう、急にはできないんです。
「いやいや、多少はやってたし。妻に任せてた部分もやろうと思えばやってやれないことはない。いざとなればググるさ」。もちろん、我流でやってやれないこともありません。何もしないより全然OK。でも、Dパパもやってみて分かったのですが、家って、普段機能させている人が使いやすいように最適化されているんですね。可能であれば妻が比較的余裕のある安定期に共有して、できれば一通り生活に係る部分はやってみておくのがベストだと思います。家事が手離れするだけで大分違いますが、一番最初に口にする単語がパパだといいななんて思うパパとしては、産後はあかちゃんの世話も欠かせません。うんちもまだ臭くないので、オムツもバンバン換えて、泣きだしたら抱きあげてトントンするくらい容易いもの。
家事育児の物理的な負担ももちろんですが、妻のメンタル面のケアも忘れません。というか、仕事によっては物理的にフォローできることの方が限られるので、むしろこっちの方が現実的かなと思います。常に物理的に近くにいられなくてもいいんです。ぶっちゃけ、家事なんていざとなれば家電任せやアウトソーシングで済みます。おじいちゃんおばあちゃんに手伝ってもらうのも全然あり。でも、「身近な人に大変さをわかってもらえてる」という安心感を伝えられるのは、世界中でパパ一人だけ。よく「男が育休とって何するの」、とか「男がおっぱい出るわけでもないし一緒に夜中に起きてもな」とか未だに耳にしますが、答えは一つです。『妻を一人にしないため』。もっと言えば『妻の心を独りにさせないため』です。直接的な成果物なんてないかもしれません。でも、ここでハンドルを離すと確実に家族はバラバラになります。産むこととおっぱいをあげることは、確かにママにしかできない育児上の役割かもしれません。でも、妻のために万事を尽くして言葉と行動で伝えて安心させることもまた、同じくらい重要で外せない、パパにしかできない育児での役割なのかなと思いました。
<おまけ:パパができる物理的なフォローあれこれ>
【だっこ】
おなかに3キロ前後のものがずっと入っていたわけで、出産後が腰の限界ピーク。骨盤廻りの関節もがたがた。ここで重いもの持って負荷かかって変な戻り方したら…と思うと、「だっこくらい任せてよ」ですよ。難しければバウンサー導入などを検討。
おなかが空いて、おむつが汚れて、眠いのに寝られなくてなどありますが、中にはなんとなく泣くときもあります。大人だってなぜか自分でも分からないけど泣きたくなる時、ありますよね。誰でもいいから四の五の言わずに抱きしめてほしい時ありますよね。ママじゃなくても大丈夫です。
【調乳】
ミルクを併用する場合、その前後で器具を洗ったり消毒だのあります。案外台所に立つ時間が必要なんです。立てないんです。おっぱいのんで寝かしつけて、ってやっている間にパパやってしまうと効率的。最近は液体ミルクという手段があって楽です。なんだったら完全滅菌されているので調乳より衛生的とか言われています。
【おむつ交換】
おっぱいならまだしも、おむつは誰が交換しても罰はあたりあせん。健康チェックにもなります。
【沐浴】
大人がお風呂入るより工程は少ないです。保湿と着替えの準備をしておけばひとりで完結できます。パパがやった方がいい理由、大概しゃがまなければならず、産後のママきついんです。
【買い物】
「荷物が重い」「歩かなきゃいけない」という以前に、新生児期はむやみに外に連れ出すなと指導されているので、子連れでいけるはずもなく。消去法でパパ。生協やネットスーパーという手もあります。
【大人の食事】
自分の分もですが、それ以上にママだって回復しなければいけません。おっぱいで出ていく分も増えます。時短料理だったとしても一食作ると15分くらい。パパにはなんでもなくても、産後のママは以下同文。凝る必要ありません。食べられればいいんです。けっこう凝ったものが冷凍食品やお惣菜コーナーで売っています。生協やネットスーパーではひと手間だけで本格的な食事が作れるミールセットがあったりします。食器洗いは食洗器という手もあります。でもそれを食器棚にしまったりする必要は残ります。食器洗ったついでにシンクと三角コーナー処理しちゃえばいいんです。
【洗濯】
乾燥機付きの全自動だったとしても、そのあと畳んだりしまったりがあります。イコール「立つ」「しゃがむ」の連続。乾燥機がなければ、湿って重い衣類を物干しにかけていく必要があります。「干し方が違う」なんてよく言われますが、めげずにやる。仕事着を形状記憶のものにしたらほぼノーアイロンでもいけます。
【掃除と整理整頓】
別に家庭訪問を受ける訳じゃないのでなにもかもキチンとしなくていいんです。ママいろいろ気になるかもしれませんが、最終的な懸念は「埃でアレルギーになったらどうしよう」「小さいものをあかちゃんが呑みこんだらどうしよう」この2点につきます。そこだけ。ロボット掃除機でもいいし、クイックルワイパー的なものでさっと済ませる程度でもあり。
悪露もあるのでトイレも掃除します。ホルモン変化の影響で抜け毛も増えます(人によっては引くくらい抜けます)。お風呂場、洗面所の髪の毛を集めてポイ忘れずに。
【ゴミ捨て】
臭いものには蓋、となる前に捨ててしまいましょう。集めるのが面倒なら、いっそゴミ箱を集約してしまうのも手。
【世の中の手続き】
役所への届け出だの、親類縁者への報告だの、出産祝いのお返しだの。なんやかやとありますが、産後のオーバーヒートした頭で情報を整理するのは無理です。最低限連絡する必要があるところについては産前に共有しておくのが吉。