横山典子さん(NPO法人コスモス コミュニティ・カフェ ココデ 理事長)
NPO法人 コスモスではどんな活動をなさっていますか?
福祉に関わる活動を社員14名で行っています。内容としては知的障害者の方とのふれあいや
*共同生活介護などの支援をメインに、カフェ(食堂)と配食を含めた3本柱の活動です。
ココデというカフェ(食堂)は訪れる地域の方たちに、障害者の方たちのことを知り、気づくきっかけの1つになればとの考えから運営をはじめました。
また、他の地域活動とも協力し、世代間で引継ぎのあるまちづくりをしていこうとしています。
*共同生活介護
アパートや一軒家に住み、生活全般の支援、食事の準備や困ったときの相談相手として「世話人」が必要人員配置され、4~9人ほどで一緒に生活する介護形態です。
コミュニティ・カフェとはどういった場なのでしょうか?
ココデという店名には「ここでやろう」、「ここで生きていこう」という意味が込められています。
交流の活発な場所を目指し、地域との助け合いやつながりの場となっていきたいと思い名付けました。たくさんの人が顔見知りになることで助け合い、循環型の地域づくりをしていきたいと考えています。コミュニティとついているので公共施設のような堅いイメージがするといわれますが、子どもから大人までみんながゆったりとできるような雰囲気を目指しています。また、この店は『さくらそうサロン』として地域に開放しています。“さくらそう”という名前は「さあ暮らそう」と「桜草」から考えました。
今の話に出てきた「さくらそうサロン」とはなんですか?
ココデで行っている、地域に開かれたサロンです。みんなが顔見知りになることを願って開いています。
家にこもりがちな高齢者の方に向けた企画が多いですが、どなたでもご参加いただけます。サロンは毎月第2火曜日の午後2時から4時まで定期的に開催しています。参加費は無料です。8月11日は*歌声喫茶のように懐かしい曲を歌ったり、*口承(こうしょう)での話が上手な方に昔話を披露してもらったりしました。9月8日は参加する方にトランプなどのゲームを持ってきていただいて、交流を図ろうと企画しています。どうぞお気軽にお越しください。
*歌声喫茶
店内のお客さんが一緒に歌を歌って盛り上がることを目的とした店のこと。知らない歌があっても、店が独自に用意した歌集を見ながら歌うこともできます。さくらそうサロンでも歌集をご用意してお待ちしております。
*口承
口頭のみで伝えられている昔話のこと。おばあちゃんが孫に昔話を聞かせるようなお話の仕方です。
カフェ ココデではどのようなことをしていますか?
メニューでは地元の野菜を使用し、不要な添加物を使わない手作りの料理をお届けしています。
毎日利用していただきたいので、価格をぎりぎりに抑え、またバランスのよい食事を提供するために豊富なおかずをご用意しています。残さず召し上がっていただきたいので、量は少なめです。今、特に力を入れているのは配食サービスです。それぞれ事情は違いますが、お店に足を運ぶことができない方からの意見でスタートさせました。お客様ごとの細かなご要望にも対応しています。まだ使っている方は少ないですが、少しずつスキルアップし、宣伝していきたいですね。
また店の一部にはお客様からからお借りした絵本や障害者の方々が作った手づくりのバッグとお財布、同じような活動をしている方たちの作ったクッキーなどを置いています。
毎日、時間帯によって様々な方がいらっしゃいます。特に来てほしい人を限定していないので、たくさんの人たちに
来てもらいたいです。
苦労していることはなんですか?
従業員が2人しかいないことです。できるなら4人くらいの従業員で運営したいと思っています。ただ、教える時間などが取れないので、実現が難しいのが現状です。
ココデの魅力はなんですか?
お客様のニーズを聞きやすく、その中から実現したことがあります。看板や先ほどの配膳サービスなどはお客様にアドバイスいただいたものです。中にはあまり人が来ないため、落ち着いた場所であることを気に入ってきてくださる方もいますし、話をするために訪れてくださる方もいます。料理を食べてくれたお客様からおいしいといわれるとうれしいですね。経営は苦しいですが、できないことはないと思いますし、働いていて楽しいです。
これからどう活動していきたいですか?
地域のネットワークづくりと通院支援などのボランティアをもっとしていきたいです。あと、19時に店を閉めるので、それ以降の時間に店を何かに使えたらと考えています。アイデアとやってくれる人募集中です。
これから就職する人に伝えたいことはありますか?
企業戦士にならなくてもいいので、世間を知っておく必要はあると思います。どんな職業でも無駄にはなりません。
特に起業を考えている人は、会社を作るのに必要なものが何なのか知っておくためにも、どこかの組織に入っておくといいでしょう。いろんな壁に当たったときに役立ちますし、危機管理ができるようになって、経験も豊富になります。
仕事を頑張っていけばゆとりができ、人に優しくなれます。そしてゆとりがあれば地域との交流を増やす余裕ができます。そうして地域の人とコミュニケーションする機会を増やしてもらえればと思います。今は大変ですが楽しく、自分らしく生きられる時期がやってきます。頑張ってください。
取材日: 2009年8月26日(水)
取材者: 加藤真梨子、加藤あゆみ、清水宣寿