大橋 ゆりさん(有限会社Plusプラス 代表・デザイナー)
現在のお仕事の内容はなんですか。
Web 制作事業全般と親子スタイルという事業の2つを行っています。
会社を起こしたきっかけは何ですか。
Webデザイナーとして個人事業で活動していたのですが、法人格にしたほうが信頼性があがると判断して、3年前に起業しました。
なぜこの仕事を選んだのですか?もともとパソコンに強かったのですか?
1995年にWindows95搭載のパソコンを購入したのですが、その頃はまったくパソコンが使えませんでした。
当時は子供がいることを生かした仕事をしたかったので幼児リトミックなどの講師をしていました。それから2.3年して家庭を持つ女性にSOHOという働き方が普及し始め、その時流に乗って、もともと美大でデザインを勉強したことを生かして在宅で受注できるフリーのWebデザイナーになろうと決めました。
お仕事で一番楽しいと思う瞬間はどんなときですか。
やはり結果が出て、お客様が喜ばれたときですね。またサイト制作という仕事を通して、さまざまな企業の業務を深く知ることができます。場合によっては旅館に宿泊取材に行ったり、普段入ることのない企業や工場の内部を撮影したりすることもあります。社会勉強にもなってなかなか面白いですよ。
日々の仕事の中でこだわっていることは何ですか。
うちはメインがデザイン業務なので、Web デザインのクオリティについて妥協をしないことです。スタッフからあがってくるものも必ずチェックを入れて品質管理をしています。もうひとつは「能力の高い主婦スタッフと良い仕事をして社会的認知度をあげること」これもこだわっていることのひとつです。当社には既婚女性で家庭で仕事をするスタッフも多いのですが、子供の小さい主婦に仕事を任せることを不安に思うお客様も中にはいらっしゃいます。その不安を解消されるようにクライアント様にきちんとご説明しております。子供を持つ主婦スタッフの多くは限られた時間の中で効率よく仕事をする能力に優れています。主婦スタッフがいかにクオリティの高い仕事が可能かもっと知ってもらいですね。
働きやすい職場にするために心がけていることはありますか。
一般的に制作業は残業や徹夜はあたりまえという認識がありますが、そうでなくても良い仕事はできると考えています。逆にそうならないように仕事を選んでいると言ってもよいです。主婦に働きやすいバランスを大切にするために、あまりに短納期の仕事や無理の多い仕事は避けるようにしています。会社の売り上げをあげることだけをせずに、長い目で信頼できるスタッフと気持ちよく仕事ができるように心がけています。
学生時代に興味があったことは何ですか。
美術大学に通っていたので写真やアート、音楽に興味がありました。それから食べることと料理が好きです。今でもオフィスで好きな音楽をがんがん聴いて、自炊しているくらいです。でもなんといっても仕事が一番の趣味です。本来好きなことを仕事にすればつらいことも乗り切れるでしょう?実は仕事と趣味の境目を決める必要もないと思っているんです。
得意なデザインは何ですか。
アナログ感のあるものやリアル感のあるものが好きです。逆にポップなものが苦手です。仕事でのデザインはやはりお客様の希望を第一に考えますのでどんな要望にもこたえます。お客様の「想い」を形にしてさしあげることがプロとしての使命と思っています。
女性起業家として女子学生に何か伝えたいことはありますか。
ありますよ~。最近は結婚や出産に対して消極的な女性をよく見かけます。結婚をすると仕事ができなくなる、子供を生むと自分の時間がなくなるなど、リスクや犠牲を考えて踏み切らない人が増えています。でもステージが変わるだけで、自己実現する方法はいくらでもあります。事業をやりたい人は小規模経営からでもはじめみることをお勧めします。考えてみてください。基本的に生活費はたいていの場合夫がまかなってくれるとしたら、ある意味生活を背負わず好きなことができるのが既婚女性の強みです。家族の関わりかたも工夫ひとつで協力的になってもらえます。もちろんかかわりが増える分大変にはなりますが、それも「やりがい」と思えばモチベーションアップになります。もっと欲張りになって結婚も出産も育児も、そして仕事も趣味も積極的にやっていけばいいんです。心配するよりまず一歩前に踏み出そう!と皆さんに伝えたいですね。だって、自分の気持ちと行動ひとつで、やりがいのある仕事と楽しい家族をGETして、自由に柔軟に組み立てて生きていくことができるのですから。まさにワーク・ライフバランスの実践です。
最後今後の事業の展望などを教えてください。
最近「親子スタイル」という新事業をたちあげました。これは「少し大きくなった子供とのハッピーコミュニケーション」というキャッチコピーなのですが、思春期・青年期の親子関係をたのしくできる情報を提供したり、サービスを創造していきたいと思っています。現在のWeb 制作業と平行して、こちらの活動にも力をいれて、いろいろな楽しい提案をしていきたいと思っています。
取材日:2008.8.28
取材者:佐藤理乃、戸佐奈保子