君 ひとみさん(NPO法人子ども未来じゅく運営)
この保育園で働く魅力はなんですか。
NPO法人経営の保育園なので、自分たちで色々なこと決めてやっていけるという点に魅力を感じています。NPO法人はお金を儲けてはいけないという見方がありますけれども、施設運営をやっている以上はある程度お金が入るシステムは必要だと思いますので、これからより取り組んでいきたいと思います。
このようにベンチャー企業とはまた違いますが、経営的な面も含めて良きも悪きも決めていける点が良いと思っています。あとはやはり保育の仕事ですから、子どもの様々な面を見ることができることは魅力です。
子どもたちが私に慣れてきて「先生~」って抱きついてきてくれたり、一方で迎えに来ると親に甘える子がいて、園にいる間我慢してたのだなって思ったり・・・私自身も三歳の息子がいますので、自分の子育てにも役立っています。保育の仕事は人を育てる仕事ですから、「人生の基礎を育てる」と同じことです。保育に関わる人は、このあたりをしっかり考えて取り組んでいかなくてはいけません。
これからの保育についてどう思われていますか。
「小さい子を保育園に預けるのはかわいそう」というような意見を耳にすることがありますが、私自身が息子を保育園に預けて気づいたことがあります。
保育園に預けると、親だけではなく様々な人と接することで社会性を磨くことができると思います。小さい子を大切にすることも大事ですが、大切にする仕方が間違ってしまう、たとえば過保護になりすぎてしまったりすると却って良くない場合があります。
保育園にいて、色々な他の子どもや家族以外の大人と関わったりしながら成長する子どもたちの眼の輝きを見て、小さい頃から社会性を磨くのもいいのではないかなと思います。少子化の現代、むしろ「自然な」子育ちの環境なのでは?
この仕事の中で辛かったことはなんですか。
川崎市で初のNPO法人が運営する認可保育園に辿り着くまでがとても大変でした。立ち上げるまでの時間がとてもタイトだったんです。川崎市のほうから認可保育園の募集があったので応募したのですが、その応募基準がとても厳しかったんですね。
川崎市は場所を確保しておくことや、資金の貯蓄など色々あったのですが、大家さんや色んな人の協力もあってどうにか応募できました。応募が通ってからも、開園まで時間がそんなになかったのでとても忙しかったです。
あとは私自身週3でしか働いていないので、やれることには限界はあるんですけども、やらなかったらこうなってしまうっていう結果が見えてしまうんですね。だから結局やらなくてはいけない。そうすると、自分の子どもとの時間を犠牲にしてしまうことも出てきます。このあたりも辛かったですね。
今後川崎市、地域とのつながりをどのようなものにしていきたいとお考えですか?
NPO法人ということもあり、これから地域の方々とも協力をしながら親子サロン、育児相談、妊婦・出産に関して、講演会等の女性のフォローを行っていきたいと考えています。また子ども達は保育園の次は小学校に上がり、学童に関する悩みなど出てくると思うので保育園だけではなく次へ繋がる事業も人も拡がって行っていきたいと考えています。
これから社会へ出ていく若者達へ伝えたいことを教えてください。
まずは「ねばる」「やりたいことをやる」この2点が大切なのではないかと思います。様々な経験を通してどれだけ素直に自分と向き合い、受けとめるか。また石の上にも三年という諺があるように、その経験の中で辛いことがあってもしっかりねばることがこれから人生において重要になってくるのではないかと思います。さまざまなことに自分から飛び込むということもとても大事な事ですね。
取材日:2008.8.28
取材者:松尾裕紀子、新島薫