広岡希美さん(NPO法人ぐらす・かわさき)
広岡さんは、3児の母でありながら、NPO法人ぐらす・かわさきにて遊友ひろば事業、自治創造フォーラム、地域市民ファンド設立準備事業など、多くの仕事を担当している。これらの仕事は、地域の人たちのつながりの場をつくるものであり、広岡さん自身も、このことを大切にしている。
地域のつながりを大切にしたい
「ぐらす・かわさき」では、地域で暮らすなかで一人では解決できないさまざまな問題・課題をお互いに共有し、同じ思いの人たちが結びついて、その解決をめざしている。そのため、寄付を求める側と寄付をする側をつなげる「かわさきサポート基金」などで広くまちづくりをする人たちを応援したり、遊友ひろばのような市民一人ひとりの居場所づくりをしたりしている。
広岡さんは今の仕事以前に2回の転職をしている。以前は企業で働いていたが、「それまでの仕事では成果が見えにくかった」と感じていたという。もともと社会貢献をしたいという意思はあったものの、社会貢献をしている実感が湧かなかった。自分に何ができるかを考えているうちに、しだいに地域に関わることに関心を抱き、参加した生涯学習センターでの地域に関する講座に参加したりしていた。そんな中、現在勤めているNPO法人ぐらす・かわさきが主催する講座に参加し、働いてみないかと誘われたことがきっかけで、活動を始めるようになった。
なぜ広岡さんが地域のつながりを大事にしているのか。広岡さん自身、東北出身であり大学に入って関東で一人暮らしを始めので、周りに知り合いがおらず、地域のつながりがなかった。まず、自分の地域を知るうちに、いろいろなつながりができて、今の仕事につながった。特に、子どもが産まれてからは地域での助け合いの必要性を感じるようになったという。
周りの支援があるからこそ、今の仕事ができている
広岡さんは、3児の母として子育てに追われつつも「ぐらす・かわさき」で多くの仕事を任されている。このような忙しい広岡さんの生活をサポートしてくれているのは、理解あるパートナーや職場環境である。また、広岡さん自身がタイムマネジメントにおいて工夫していることは、やるべきことに優先順位を決めることだという。
パートナーは女性も社会の中で仕事を持つことは当然のことだと考えており、家事も必要に応じて協力し、休日の子供の世話もこなしてくれるという。
今の職場は女性の職員が多く、勤務時間の調整や早退などは以前働いていた企業に比べると理解がある。広岡さんは子どもには外食ではなく家でできるだけ手作りのものを食べさせたいと考えているので助かっているという。
家庭のことを優先させるために仕事を辞めるという選択肢はなかったわけではない。それでも広岡さんが仕事を続けているのは、「働いている」という状態が自然なことだと広岡さん自身が考えているからと感じられた。「(仕事を続けていくことに)特別な信念はあるわけではないけれど、仕事を続けていくんだろうな、とは思う」と広岡さんは語った。勤務時間や家庭の状況に変化がありながらも、働き続けることでワークライフバランスを実現している。
広岡さんは、会社やパートナーの理解・協力によって、家庭と仕事の両立を実現させている。特に固定概念にとらわれず、ライフスタイルは人それぞれ自由でいいと考えている。
編集後記
子育てをしながら働くということはとても大変だ。特に、広岡さんの場合は10歳にも満たない子供が3人おり、また、仕事のほうも時には土日も出勤するほど忙しいものだ。それでも仕事と家庭を両立させ、地域のつながりを大事にする姿勢に感銘を受けた。
(インタビュー:、荒砥和典、石井彩夏、伊藤絢香、田中萌恵子、樋口翔平)