このページでは、親子で一緒にたのしめる絵本を紹介しています。
今日ご紹介する本は、南米北部の国ベネズエラの話です。『道はみんなのもの』という13ヶ国語に翻訳されているベネズエラのロングセラー絵本です。
1950年代ベネズエラでは工業国を目指した開発が始まりました。のんびりした村は開発の波に飲まれ多くの人が集まり、山を切り開き、山の天辺まで住宅が立ち並ぶ地域となり子どもたちの遊び場さえなく、道路で遊ぶしかない子ども達は常に危険にさらされていました。
安心して遊べる場所が欲しいと願った子ども達は相談を始めますが、誰にどのように頼めばよいのか分からず、忙しい大人は振り向きもせず、子ども達に知恵をつけてくれたのは図書館の職員でした。様々な苦難を乗り越えながら「遊び場が欲しい」という子どもたちの熱意と決意が大人を動かしていきます。ついに完成した公園に、子ども達は自分たちの手でつくった看板を取り付けました。『公園はみんなのもの。どうぞ楽しんでください。』
この最後の言葉に、川崎市の子どもの権利条例の策定に関わってくれた子どもたちの議論を思い出しました。条例にはもちろん子どもたちの遊ぶ権利が謳われています。条例に基づき南武線津田山駅近くには『夢パーク』が作られ、何をして遊んでも良い広場があります。自分で決めて自分で行動する、その成功も失敗も子ども達は引き受ける覚悟を持っている。その中で学んだ体験が子どもたちの経験になっていく、自立への歩みなのです。それを信じて、見守ることが大人の役目であり、子どもの育つ力のほうが大人の育てようとする力よりも大きいと認識することが大人には必要です。
子どもは未来です。子どもたちが日本の未来を、世界の未来を背負っていくのです。子どもたちの「転ばぬ先の杖」ではなく、転んだあと立ち上がるための杖となる大人でありたいと思います。