このページでは、親子で一緒にたのしめる絵本を紹介しています。
色彩豊かな絵が次々と現れ、目も心もすっきり、はっきりしてきます。特に牧場の絵は、真っ白な雲が流れ、真緑の草原が広がり、牛たちはのんびりと草を食べ、時間が止まったような景色が心を捉えます。透明感のある美しい絵と話の内容がぴったりの絵本です。 南米の小さな国ウルグアイの大統領のスピーチを絵本にしたものです。2012年、ブラジルのリオデジャネイロで開かれた「環境が悪くなった地球の未来について」の会議で世界中から集まった各国の代表者が次々と意見を述べた後で、質素な背広にネクタイなしの姿でウルグアイの大統領が話し始めるのです。
今の文明は私たち人間が作ったものですが、もっと便利で、もっと良いものを手に入れようと工夫を重ね、世の中は大変発展しました。しかしその後、ものを沢山作って世界に売る競争が展開される社会になっています。働いて、ものを買い、使い捨てして、ごみの山ができ、自然を壊しています。必要以上にものを手に入れようと働きづめに働いて命を縮め、「生き方が危機に陥っている」状況だというのです。ものに欲を持ちすぎてはいないか、私たちの生き方を考え直す必要があるというのです。
- 人と人とが幸せな関係を結ぶこと
- 子どもを育てること
- 友人を持つこと
- 地球に愛があること
この4点を発展の土台にして人間の暮らし方を考えようというのです。 さらに、世界でいちばん貧しい大統領は、古代の賢人たちのことばを紹介しています。 「貧乏とは少ししか持っていないことではなく、もっともっととほしがることである」 今あるものに目を向けて、「人と人が幸せな関係」にあり、「地球に愛」があれば、それだけでも幸せなのだと気づきます。一人の人間として、社会人として競争に明け暮れるのではなく、ものを求めすぎず、自然と協調しながら生きていくことの大切さを気づかせてくれる絵本です。
※紹介文は、ブックインフォメーション2016年1月号より抜粋しています。