『フェミニズムってなんですか?』
発行日:2022年5月
著者:清水晶子
出版社:文藝春秋
発行日:2022年5月
著者:清水晶子
出版社:文藝春秋
少し前に比べると、メディアなどで「フェミニズム」という言葉に触れる機会が増え、社会に浸透してきた感がある。では、あなたは「フェミニズムってなんですか?」と問われてうまく答えられますか?本書を読了すれば、きっと現時点のあなたの答えが見つかるはず。
「女性たちの生の可能性の拡大を求める思想や営み」であるフェミニズムを理解しようとするときに重要な問いは、フェミニズムが「何であるのか」より、「何をするか」だと著者は言う。本書は、19世紀末から現代に至るまでの運動に象徴されるフェミニズムの4つの波、その歴史に向けられた批判や異論、現在の論点、それらを理解するのに欠かせないインターセクショナルな視点(「人種やジェンダーだけでなく、階級、セクシュアリティなどをめぐる複数の抑圧が互いに交差して差別構造を形作っている」とする考え方)まで丁寧に綴られている。フェミニストの間で意見の分かれる問題、例えば「中絶」や「セックスワーク」をどう捉えるかの語りは、あなた自身が自分のフェミニズムと向き合う時間になるだろう。
写真家の長島有里枝さん、スポーツとジェンダーの研究者である井谷聡子さん、作家の李琴峰さんとの対談を通して、著者が三者三様少しずつ異なるフェミニズムに触れ、その輪郭を確認しなおす作業には、フェミニズムの考え方はそれぞれ違っていてもいい、という著者の視点が詰まっている。